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プラタナスからのメッセージ

プラタナスの広場について (大石佳能子)

ちょうど10年前の今頃、プラタナス・プロジェクトは開始されました。

プロジェクトメンバーは、野間口先生(医療法人プラタナス現理事長、用賀アーバンクリニック院長)、
遠矢先生(現桜新町アーバン院長)、田中伸明先生(京都産業大教授)、
小松さん(現メディヴァ取締役)と私、他数名でした。

当時プラタナス・プロジェクトは「PHD(Perfect Home Doctor)構想と呼ばれていました。
医療のプロと経営のプロが集い、患者さんにとって嬉しい、医療者にとっても働きやすい新しい医療提供の場を作りたい、
そういう思いでPHD構想を進めました。

まだまだホームドクター、家庭医などという概念が耳慣れないころでした。
そもそも患者視点という言葉も新しく、医療にプロの経営が必要ということもようやく言われ始めた頃です。

患者さんは医療機関に何を求めているのか?
何をすると治療効果が上がるのか?
医療者にとって仕事がしやすいとはどういうこと?
一人の開業医ではできないことを組織なら成し遂げることができるのか?

当時診療所にはほとんど入ってなかった電子カルテを使って、グループ診療を促進しました。
院内の看護師さんや薬剤師さんに共有してチーム医療を促進しました。
医療事務部と共有することにより、会計の待ち時間を減らしました。
電子カルテなので、プリントボタンを押すとカルテが印刷されます。患者さんにカルテを完全開示し、
治療への参加を呼びかけました。
経済産業省が予算を付けてくれたので、インターネットを通して、患者さんが自分のカルテを
いつでもどこでも閲覧することができる、オープンカルテの仕組みを導入しました。
近隣の医療機関にもカルテが閲覧できるようにしました。

本当にこんなことやっていいの?と思われるようなことを、実験も含めてやってみました。
やってみて初めて分かったこともあります。
患者さんへのカルテ開示は、他の医師から「そのカルテが事故の時の証拠になる。
悪いことは言わないから、やめた方がいい」と数多くの助言を受けたのですが、10年間でもめ事は一つもありません。
思うに、患者さんと医療機関のもめ事は、信頼関係の崩壊に起因することが多く、カルテを完全開示することは
最も大事な信頼関係を構築するのに多大な貢献をしているのではないでしょうか。
反対に、近隣医療機関へのカルテ開示は、あまり意味がありませんでした。
忙しい診療の合間に、紹介を受けた患者さんのカルテを閲覧する余裕など、ほとんどないからです。

このように成功もあれば、失敗もあり、経営的には初めから上手くいっていたわけではなく、
試行錯誤の紆余曲折の連続でした。
でも大事なことは、「新しい価値の創造を目指して、未踏の地に踏み出した」こと(特に保守的な医療界を考えると、
参加した医師の皆さんにはすごい勇気と覚悟が必要だったと思います)、
「仮説を持って取り組み、仮説が間違っていれば修正できた」こと、
それと「継続できたこと」だと思います。

10年たって、PHD構想の一号クリニックである用賀アーバンクリニックは、
地域にはなくてはならない存在になりました。
たまたま私も近隣住民で子供もつい最近まで地元も小学校に通っていたのですが、
プラタナスの「葉っぱのマークの先生」は、子供たちにも深く信頼されています。

PHDも患者さんの層やニーズによっていろいろなタイプがあり得ます。
用賀アーバンは、比較的若く、医療に対する知識関心が高い世帯を中心とした住宅地でのPHD(ファミリードクター)です。
松原アーバンは、高齢者を中心とした世帯が患者層なので、ターミナルケアを含む在宅医療を核としています。
施設在宅部は、老人ホーム等の高齢者施設でご家族と離れて暮らす方に向けた医療サービスを提供します。
先日も厚生労働省の元事務次官である辻哲夫先生とお話をさせていただきましたが、
日本において在宅医療の重要性はこれからもどんどん増していくでしょう。
患者視点からいうと、在宅医療は24時間、365日対応が必須ですが、
医療者がそれを継続して実施できるには、「赤髭先生」ではなく、「システムや仕組みによる医療提供体制」が必要です。
在宅は、病室が個人のお宅や老人ホームの居室に代わったものですから、
それを一人の当直医が一年365日診るのではなく、情報連携をしながら持ち回ることが理想です。
在宅の場におけるタイムリーで、機動性のあるローコストな情報管理のために、
桜新町アーバンを中心に、iPhoneを用いたカルテ情報の閲覧を開始しました。

またイーク丸の内では、女性の医師、スタッフによる女性外来、健康診断を実施しています。
女性は、男性の異なる疾病構造を持ち、特に子宮ガン、乳ガン等に起因するガン年齢に早く入るため、
男性とは異なるニーズへの対応が必要になります。
同クリニックは、実は再生案件で、月間赤字2000万円、総負債4億円を抱え破産したものを頼まれて引き取りました。
1年半で黒字化を達成しました。
スタッフの素晴らしい頑張りに負うところは大きいですが、
やはりベースには患者視点によるニーズの把握があったからだと思います。

さて、いろいろと各クリニックについて説明してきましたが、今回スタートした
「プラタナスの広場」は、私たちとってはまた一つの新しい試みです。

「プラタナスの広場」は、医療法人プラタナスのクリニックに加えて、プラタナスの理念に共感し、
プラタナスが運営をお手伝いしている2つのクリニック《銀座医院(湖聖会)とみなとクリニック(健成会)》
も参加してくれた、新しい情報発信の場です。

「プラタナスの広場」では、広場に集ったクリニックの医師やスタッフ、各関係者から、
考えていること、やっていることを広く世の中に発信するとともに、広場に参加しませんか?
という投げかけを目的としています。

私たちからの発信は大上段に構えたような話ばかりではなく、
「こんなスタッフが働いています」、「こんな気持ちで患者さんに接しています」
というような等身大の情報発信も積極的に行なっていきたいと思います。

参加の仕方は、サイトを定期的に訪れていただく、受診していただく、
プラタナスで働いていただくなどはもちろんですが、ご質問、ご意見、ご要望を頂くこと、
特定のプロジェクトやプロセスに部分的に参加いただく、経営についてのご相談をいただくなど、
いろいろな形態がありえると思います。

是非、ご興味のある方は、投げかけに対して、何かを投げ返してみてください。
楽しみにお待ちしています!